旅の安心安全

高山病にならないために

今年はコロナ禍が開けて久しぶりの「行動制限にない夏」となり、多くの登山者がアルプスなどの山々に出かけていました。

特に日本一の標高を誇る富士山では久しぶりにやってきた外国人旅行者も含めて多くの登山者で賑わっていました。

そんな中、軽装で夜中から上り、山頂でご来光を見てからその日のうちに下山する「弾丸登山」をした方が、途中の山小屋や登山道で救助要請をされ救急隊が出動するといったニュースが多く報道されて、話題になりました。そのような短時間で一気に標高の高い山に登っていく行程の登山は高山病にかかるリスクが高いので、非常に危険です。

高山病は富士山など高い山に登った時に起こる症状で「山酔い」とも言われています。

発生する標高には個人差がありますが、標高3,000m以上になると、頭痛や食欲の低下、倦怠感、息苦しさなどの症状に襲われます。

症状が悪化すると「高所肺水腫」や「高所脳浮腫」などの命に関わる重篤な状態にも陥ります。

原因は標高が高くなると気圧が下がるため空気が薄くなって、空気の酸素の量が減ることで、体がそのような環境の変化に順応することができないため起こります。

対策としては「下山する」=通常の気圧の場所に移動することが最良の治療で、楽になるまで高度を下げることが重要です。

また酸素ボンベなどがあれば、体力が回復するまで酸素を吸入することも有効です。

予防対策としてはまずは余裕のある日程を組むことです。

急激な気圧の変化は高山病を引き起こしやすいため、ゆっくりと徐々に高度を上げる行程を組むことで高山病にかかりにくくなります。また高所の空気は乾燥しており、その中で登山などの運動をすると体の水分が失われやすいので、脱水症に気をつけ、多めに水分を摂取しましょう。

また気圧の低い山では平地より酔いやすいため、アルコールなどの摂取はなるべく控えるようにしましょう。

いずれにしても登山を楽しむためには自身の健康状態や体力を過信することなく、きちんとした装備とゆとりのある日程を組むことが肝心です。

これから秋山シーズンになりますが、安全で楽しい登山を心掛けましょう。

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