健康(食)豆知識

認定NPO法人ヘルスプロモーションセンター

佐藤 和子

各栄養素の性質と生理作用

第7に重要な栄養素は、炭水化物・食物繊維・脂質・エネルギーです。

炭水化物

炭水化物は糖質と食物繊維に分けられる。

糖質は僅か(1~2%)しか体内には存在していない。細胞外液中には約1時間分のエネルギー供給量があるにすぎない。

糖質はグリコーゲンとして肝臓に約100g、筋肉に200~250gが貯蔵されているが約半日で消費される量である。

糖質の過剰摂取では、グリコーゲンとして貯蔵される以外はすべて脂質に変えて貯えられるので注意したい。

生体内には糖新生の代謝機構があり細胞への糖質の安定供給に関与している。

エネルギー源以外ではムコ多糖質として軟骨・骨・角膜・関節嚢などの構成成分となっている。

炭水化物の1食あたりの目安値は80~100g位です。

[食品100gに含まれる炭水化物量g]

ごはん は精白米では37g、玄米では36g、食パン47g、ライ麦パン53g、フランスパン58g、うどん(ゆで)22g、そば(ゆで)26g、さつま芋(蒸し)31g、里芋13g、じゃが芋17g、かぼちゃ(ゆで)21g、ごぼう14g、玉ねぎ9g、などだが、他の多くの野菜は2~5g位である

果物ではバナナが23gで最も高値で、金柑18g、柿・ブドウは16g、りんご15gが高いが他の果物は7~12g位である。

食物繊維

食物繊維は、消化されずにそのままの形で大腸に入ってくるものの総称で、水溶性と不溶性に大別される。

水溶性は、海藻に含まれるアルギン酸やコンニャク芋に含まれるマンナンなど。

不溶性は、野菜、果物、豆類、穀物に含まれるセルロース・ヘミセルロースなどで腸内容物の増加、腸内容物通過時間の短縮など、便性の改善に関与している。

1食あたりの目安値は10g位です。

水溶性の食物繊維(食品100gあたりの含有量g)

(海藻)ひじき(干し)43.3g、焼きのり36.0g、のり佃煮4.1g、真こんぶ27.1g、とろろ昆布28.2g、塩昆布13.1g、昆布佃煮6.8g、生わかめ3.6g、素干しわかめ32.7g、塩蔵わかめ戻し3.0g、ところてん0.6g

(こんにゃく類)しらたき2.9g、こんにゃく2.2gである。

ビタミンB2が豊富

不溶性の食物繊維の多い食品(食品100gあたりの含有量g)

(豆類)ゆで豆は、いんげん豆13.3g、小豆11.8g、グリーンピース8.6g、大豆7.0gである。納豆は6.7gと豊富。

(野菜) らっきょうが21.0gで最も高値で、しそ・実8.9g、よもぎ7.8g、しそ・葉7.3g、つくし6.7g、 パセリ6.8g、ごぼう6.1g、ゆりね6.0g、とうがらし・葉5.7g、オクラ5.2g、芽キャベツ5.2g、にら4.3g、なばな4.3g、ふきのとう4.2g、西洋かぼちゃ4.1g、日本かぼちゃ3.6、かぶの葉3.7g、ブロッコリー3.7g、水菜(京菜)3.6g、ほうれんそう3.6g、大根・葉3.6g、と豊富です。

(漬物)山ごぼう味噌漬7.0g、たかな漬5.2g、なす・しば漬4.4g、たくあん漬3.5g、と豊富である。

(果物) 金柑4.6g、キウイフルーツ2.5g、日向夏みかん2.1g、いちじく1.9g、外国産・アボガド5.3g、グアバ5.1gである。

(主食)押し麦七分つき(乾)10.3g、ライ麦パン5.6g、食パン2.3g

参考までに、(精白米ごはん)0.3g、(玄米ごはん)1.4g、生そば(ゆで)2.0g

(芋)さつま芋:(蒸し切干5.9g、蒸し3.8g、焼き3.5g)水芋水煮2.5g、里芋水煮2.4g、じゃがいも・水煮1.6g

(和菓子)甘栗8.5g、甘納豆・小豆4.7g、もなか3.1g、大福もち2.5g、

(洋菓子)ポップコーン9.3g、ポテトチップス4.2g、ミルクチョコレート3.9g、

菓子類はカロリーが高いことを認識したうえで食べることですね。

お菓子が欲しくなった時は“注意”しましょう。

お菓子は成分表でもおわかりのように、糖質(しょ糖)が主体ですのでカロリーの高いことを認識しましょう。

お菓子が欲しくなる時は、その前の食事が不足していたことを意味しますので、食事の質と量とを点検して是正しましょう。

乾物を水に戻した場合の概算量

・ひじき7倍、昆布4倍、刻み昆布5.7倍、素干しわかめ5.9倍

・干ししいたけ5.7倍、きくらげ:白15倍、黒10倍、あらげ4.9倍

・干しずいき7倍、切り干し大根5倍

・乾燥の大豆・小豆・いんげん豆:2.3倍

脂質

蛋白質に次いで多い(13%)生体構成成分、体重70kgの人では約9~10kgの脂質を持ちそれは約40日間分のエネルギー源に相等する。

大部分は脂肪組織内にあって中性脂肪の形をとる。

一般組織の脂質は生体膜成分としてのリン脂質とコレステロールが主である。

脂質の多くは体内で糖質や蛋白質から合成されるが、不飽和脂肪酸のリノール酸、α-リノレン酸は体内で合成されず必須脂肪酸とよばれ、これらからは種々のホルモン様物質がつくられ、重要な生理作用を発揮している。

健康のためには、油脂(脂肪酸)を選んで使用することが大事です。

必須脂肪酸のリノール酸(ω6ともいう)は成長や生殖生理(出産など)を保つ上で必須であり、α-リノレン酸(ω3)は脳・網膜・心臓の機能を保つ上で必須です。

リノール酸は、通常の食環境で欠乏することはありません。肉・卵・豆類・穀類などから摂取できるからです。

リノール酸は体内でアラキドン酸となり、さまざまな生理活性物質(ホルモン様物質、主にエイコサノイド)を生産しますが、過剰になり過ぎると、その亢進(たかぶり進むこと)が多くの病気(がん、動脈硬化性疾患、アレルギー過敏症、他に炎症性疾患、うつ病など)を招きます。

α‐リノレン酸は魚やしそ油(えごま油)に豊富に含まれ、代謝されるとエイコサペンタエン酸(EPA)となり、生理活性物質を作ったり、血栓融解物質として血液をサラサラにします。

血管内皮細胞の遊走能を高めて、血管内の修復にも寄与します。

さらに代謝されてドコサヘキサエン酸(DHA)になると、脳・網膜・心臓などの機能を保つことに貢献しています。

昔から“魚は頭を良くする食品”といわれてきたのは、正しいのです。ちなみにω6とは異なり、ω3は必要量以上の摂取による障害は認められていません。

どちらも必要量は総エネルギーの1%以下と少量ですが、代謝の多くの段階で競合的であるため、量だけでなくω6/ω3の値が健康上で重要になります。日本人の現状はω6の過剰摂取かつω3の摂取不足です。

ω6/ω3の値は2以下、できれば1以下が望まれます。

画像に、お勧めの油脂と食品に含まれるω6系・ω3系、ω6/ω3、EPA、DHA値の特色を紹介します。

  • 図1

エネルギー(kcal)

人体のエネルギーは細胞内のミトコンドリア(直径0.5~1μ、長さ1~1.5μの細長い顆粒)内で酸化的リン酸化とよばれる化学反応でATPの形で合成される。

この時の原料が糖やその他の栄養素である。

我々はこのATPを分解利用して運動、熱、物質の合成、神経の電気的活動、分泌のための浸透圧的な仕事を営んで営んでいる。

エネルギーの最大消費部位は筋肉である。

基礎代謝は、生命の維持に必要な最小限の代謝である。

体重1kgにつき毎時約1kcalである。

活動量に応じて食物摂取量(とくに黄群)は加減する必要がある。

私達の活動エネルギー源としては、炭水化物が最も有用である。

炭水化物と蛋白質は1gにつき4kcalをもつが、脂肪は1gあたり9kcalである。

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