健康(食)豆知識

認定NPO法人ヘルスプロモーションセンター

佐藤 和子

カリウム(K)は第2に重要な栄養素です。カリウムを見直しましょう。

~体の成分と役割について~

体の細胞の内部の構成成分や構成元素の割合を示した(図1)のように、カリウムは8番目に多いもので、体重のおよそ0.20%です。ちなみに1番多い元素は酸素(O)65%、2番目は炭素(C)18%、3番目は水素(H)10%、4番目は窒素(N)3%、5番目はカルシウム(Ca)1.5%、6番目はリン(P)1.0%、7番目はイオウ(S)0.25%、8番目にカリウム(K)0.20%、9番目はナトリウム(Na)とクロール(Cl)で0.15%、11番目以降はマグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨード等々、多くの微量元素が構成成分となっています。

一方、"生きている"というのは私達の60兆個ともいわれる数の細胞が機能していることによって成り立つものですから、細胞の成分について見つめてみる必要があります。

細胞の成分を電解質でみますと(図2)のように、細胞内液にはプラスのイオンとマイナスのイオンが等量あります。

そのプラスイオンの主役がカリウムなのです。

  • 図1
  • 図2

その割合はカリウム(K+)70~75%、マグネシウム(Mg2+)20~25%、ナトリウム(Na+)10%弱です。

一方、マイナスイオンについては、リン酸化合物(HPO42-)が約60%と蛋白質(Nの化合物)が40%余りを占めています。

そして残りは僅かなイオウ化合物(SO42-)と重炭酸イオン(HCO3-)で構成されています。

つまり細胞内では、主役は窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)ということになります。

これは植物の三大栄養素N、P、Kと同じです。このように、私たちの体を見つめる限り、 人間も植物や他の生き物と同じ地球上の、いや自然界の一員にすぎないことに気づきます。

このことをもう少しじっくりとみつめて食事をより科学的に理解すべきであると思います。

カリウムは、これまで栄養学上重視されてきませんでした。

しかし、私は蛋白質に次いで重要な物質と考えています。

カリウムの摂取不足では、体力・気力が宿りにくいのです。

細胞内にカリウムがあればこそ、細胞内で作り出した蛋白質もグリコーゲンも蓄えておけるのです。

ここでカリウムの生理作用を見てみましょう。

成人の体内に約200g存在し、主にリン酸カルシウムや蛋白質との結合の形で細胞内に存在しています。

脂肪組織には僅かしか存在しません。

成長に伴いアミノ酸とともに組織形成に役立ちます。

成長後も体の成分はたえず入れかわっているために一定量の摂取が必要です。

カリウムは細胞内液の浸透圧の維持とともに神経の興奮機序に関係しています。

欠乏症は(一)筋力の低下(二)心拍数の増加(三)消化管運動の低下(四)腎臓での尿の濃縮力の低下などです。

~カリウムを多く含む食品~豆と芋が代表です

カリウムを多く含む食品

カリウムの供給源は、ほぼすべての食品といえます。

食品100gあたりの含有量でみますと、特に含有量の多い食品は豆と芋といえましょう。

豆では、炒り大豆・きなこは1900mg。納豆は660mg、大豆(煮)570mg、小豆(煮)460mg、いんげん豆(煮)470mg等々、大変カリウムの多い食品といえます。

長芋(生)430mg、里芋(煮)560mg、さつま芋(蒸)490mg・(焼)540mg、じゃが芋(煮)340mg、といずれも高い含有量を示しています。"とろろ芋は精力がつく""さつま芋はお通じがよくなる"などといわれてきたのは、いずれもカリウムの力なのです。

魚では種による差がみられます。

魚(可食部100gあたり)のカリウム含有量mgを示しますと、いわし310mg、さけ350mg、さば320mg、さんま200mg、さわら490mg、ぶり380mg、たら450mg、わかさぎ120mg、等々です。

肉は部位による差が大きく、牛もも340mg、ばら190mg、豚もも360mg、ロース340mg、ばら250mg、鶏むね皮なし210mg、皮つき190mg、ささ身280mg

卵は130mg、牛乳150mg等々です。

茸類や海藻類も有用です。

生しいたけ280mg、ぶなしめじ380mg、エリンギ480mg、なめこ230mg、黒きくらげ(茹)37mg等々、真こんぶ6100mg、とろろ昆布4800mg、生わかめ730mg

冬の時期ですので野菜を見てみますと、ほうれん草490mg、小松菜(生)500mg(茹)140mg、白菜160mg、ブロッコリー(茹)180mg、にら400mg、水菜(生)480mg(茹)370mg、人参270mg、なお、野菜のお漬物のカリウムも有用です。

とくにぬか漬けになりますと、ぬかの成分が加わり塩漬け以上に、カリウムと共にビタミンB1、ナイアシンなどの値が高くなりますし、おいしさも増します。

先人の知恵を感じます。

例えばかぶ根塩漬けとぬか漬けで比較しますと310mg:500mg、かぶ葉では290mg:540mg

果物類も種による差が大きく、りんご110mg、桃180mg、ぶどう130mg、みかん150mg、夏みかん190mg、バナナ360mg、キウイフルーツ290mg、メロン350mg等々

主食のごはん29mg、食パン97mg、うどん(茹)9mg、そば(茹)34mg、等々と、カリウムは食品によって様々ですので、よく使う食品については含有量を確認して活用しましょう。

一食あたりの目安量はおよそ1,300mgくらいです。しかし、すでに腎臓疾患でカリウムの摂取制限のある方は主治医の指導に従いましょう。

よく使う食品については科学技術庁の食品分析表を活用することが大事です。

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